きゃらりこ日誌

2009年08月

2ちゃんねるプレイバック ニュー速板「オマエラ、この人を救ってあげてください!」(ウォッチスレ)

インターネット
2002年8月、2ちゃんねるのニュー速板に、とあるスレがたちました。
「オマエラ、この人を救ってあげてください!」(過去ログ
とあるフリープログラマーが自室に設置したライブカメラの、ウォッチスレでした。

彼の名前は小笠原照栄。スレ住民からは、SHOW-Aと呼ばれていました。
なぜか他板にも話題が波及し、2ちゃんねる内で一大ブームとなりました。
その経緯は、下のスレッドのテンプレを参照。
カメラの男性、小笠原照栄、通称、Show-A。
54歳の自称ロートル(老人)プログラマー。

ある日1人の2ちゃんねらーが彼のページを発見する。
ttp://www.alpha-net.ne.jp/users2/microsys/稼動状況.htmを見て愕然とする。
「予定がまっさらじゃねーか!」

ということでニュー速に「この人を救ってあげてください」というスレが立つ。

そしてカメラに写るShow-Aタンの切なさに殺伐としてるはずのニュー速住民がマターリヲチを始める

ヲッチャーがFAXを送ったかどうか真相は謎だがShow-Aタンはこちらの存在を知ってる模様。
にもかかわらず、Show-Aタンはライブを続行し、あまつさえ視聴者サービスなどする始末。
ついに室外カメラも登場。

サービス精神旺盛なShow-Aタン、黙々とライブを続けるShow-Aタン。
ヲッチャーたちは彼を救うためではなく、実はヲチしている自分が救われている、
癒されるためにヲチしているのだと気づき、「この人に救われてください」という形で現在に至る。
プロフィールによると、彼は20年ほど制御系のプログラマーとして働き、5年前にWindowsに転向したとのこと。
当初は興味本位・からかい目的でのウオッチがつづきましたが、スレに「もうすぐ仏様 ◆3qPUM3f0HI」のコテハンで光臨したり、スレ住人からの差し入れが届いたり、ライブカメラに向かって合図を送ったりと、スレ住民との交流が続いていました。
2ちゃんねるの話題を多く扱っていた雑誌「ネットバム Vol.4」(大洋図書)からも取材され、その記事によると、ライブカメラは自分の生死を知り合いに確認してもらうために設置したということでした。
11月に「終わりにしましょう」という書き込みがあったそうで、ライブカメラが撤去され、スレッドも52スレ目で自然消滅しました。
そして彼のホームページも、避難所・過去ログサイトも消滅しました。

その後の彼の様子は、誰も知らない……はずだったのですが、2年後に彼が制作に携わったカネマスヤのホームページに数枚の写真がひっそりと掲載されました。
http://www.aa.alpha-net.ne.jp/onumazao/Other.htm
2004年4月に入院されたそうです。
最新の写真は7月のものでしたが、まだ入院しているようでした。

話題になった当時は54歳でしたが、今もご健在なら61歳。
病気でお亡くなりになってもおかしくない年齢です。
SHOW-Aさんは、今どうしているんだろうか。


※ 2010年3月追記
コメント欄で情報をいただき、カネマスヤ掲示板を確認してみたところ、SHOW-Aさんはご健在のようで一安心しました。
カネマスヤ掲示板 http://8913.teacup.com/onumazao/bbs


(初出:はてなダイアリー「Tech² memo」)

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ニッポン放送のメジャーリーグ中継機材

技術
ニッポン放送は2006年頃から、アメリカからメジャーリーグの生中継を行っているのですが、メジャーリーグ中継開始初期にワイド番組の中で、ベクターという機械を使って一般加入電話(普通のアナログ電話回線のこと)から中継していると言っていました。
中継スタッフは最小限の2人(アナウンサーと、技術スタッフ兼ディレクター)だけだし、国内の中継で使ってるISDN回線の確保もままならないだろうし、テレビほど帯域を使わないから通信衛星を借りるほどでもない。
だから国際電話で中継なのでしょうが、なぜか国内並みのいい音質で中継しているので、どんな機械を使っているのか調べてみたのですが、当時は判らずじまいでした。

[POTSコーデック“VECTOR”]そして今日、たまたまニッポン放送のメジャーリーグパーソナリティ日記を見ていたところ、2006年4月の放送機材紛失事件の際の写真でどんな機材を使っているのかがわかりました。機材は写真・記述内容から、音声送受信用のCOMREX社製のPOTSコーデック Vector、SHUREのマイク、実況用のマイクつきのヘッドセット、L-comのステレオジャック-ステレオミニジャック、Trisonicの25フィートの電話コード、取材用の携帯MDレコーダー。これだけで、海外からの生中継ができるそうです。
ちなみにお値段は、全部で6500ドル(MDレコーダーを除く)、当時のレートで約77万円。へー、これだけでいいんだ。頑張れば個人でも手が届きそう……と思ったけど、受け手側にも同じ装置を置かないといけないし、国際電話代も払わないといけないんだよなぁ……

しかしカタログによると、一般加入電話で通信速度24kbps以上が確保できればモノラルで音声帯域15kHz(FMの中継回線と同じ帯域)、サンプリングレートはMP3で64kHzもしくはTurboG.722で128kHz、遅延は電話回線自体の遅延+0.15秒以下で、衛星携帯電話並の通信速度9.5kbpsでも5kHz(一般加入電話の2倍弱)が確保できるそうです。VECTORって、結構すごいヤツですなぁ。

(初出:はてなダイアリー「Tech² memo」)

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