きゃらりこ日誌

2022年09月

[PR] 放射温度計「FLIR TG56」商品レビュー

PC・家電 / 技術

先日、珍しいことに当ブログに商品レビューの依頼が来ました。RSコンポーネンツの取扱商品の中から好きな商品を選んで、自由にレビューしてください!というものでした。いつもブログのネタ切れに苦しんでいる私としては渡りに船という訳で、これに乗っかることにしました。

さて、私は変なもの、変わったもの好きを自称しているのですが、この世界には同じような趣味の人も多く、そう簡単に面白い商品に巡り合えるものではありません。そういう訳で、いつもネタ探しに七転八倒しているのですが、今回はレビューのお誘いに乗って、名前は知っているけれども今まで使ったことがなかった「RSコンポーネンツ」に手を伸ばしてみました。

RSコンポーネンツは産業用電子部品などを取り扱う通販サイトだとは知っていました。しかしサイトの中を覗いてみると、産業用のコネクタや、ロジックIC・インバーターIC、そして3Dプリンタ・ディスプレイモジュール・産業用PCの電源ユニット・計測器など、普通の通販サイトではなかなかお目にかかれない製品がいろいろありました。
特にプログラマブルなキーパッドや、USBオシロスコープにも興味を引かれたのですが、これらを紹介するには私の手には余りそうです。また一番気になっていたRSコンポーネンツ製のRaspberry Piは、今年6月でライセンス製造・販売を終了してしまってますし……

FLIR TG56

そんな中、ちょうどよさげな製品を見つけました。
アメリカのFLIR Systems社の放射温度計「FLIR TG56」です。今回はこれをレビューしていきます。

FLIR TG56
FLIR TG56
仕様

まずはスペックから見てきます。
製品仕様によるとD:S比が30:1(測定物から30cm離れた場所から測定するとき、測定エリアは直径1cmの円形という意味)、測定範囲は-30~650℃、精度は0℃以上では±1℃または±1.0%、分解能は0.1℃。電源は単4電池3本で、連続使用は最長8時間。バッテリー残量表示もあります。なおアルカリ乾電池の代わりにニッケル水素充電池を使ってみましたが、問題なく測定できました。
付属品は、日本語を含む14か国語対応の簡易説明書とハンドストラップ、単4アルカリ乾電池×3本、そしてK型熱電対(-30~300℃)です。この熱電対を使えば物体の表面温度だけではなく、液体の中の温度も測定できますね。
製品はメーカー5年保証です。ただ校正証明はありませんが、出荷時に校正済みとのことです。
余談ですが同じ形状で熱電対用の接続端子がないTG54は、IP56適合とのことです。ということは、TG56は接続端子部分以外はIP56相当…だったらいいなぁ。

本体サイズは約80×165×45mmですが、外箱は約150×285×75mmと無駄に大きめになっています。精密機器なので、配送時の落下破損防止のため外箱を大きくしているのでしょうか。

使用感

本体の形状はガン型で、両手で持つとしっかり保持できるので測定箇所がブレづらくなっています。
本体は丈夫な造りで、仕様では3m落下試験対応とのことです。ハンドストラップをつけていたのに、うっかり手が滑って床に落としてしまった……なんてこともあるので、これは安心ですね。
トリガーを引くと測定ポイントにレーザー光が当たるので、測定ポイントがとてもわかりやすいです。またLEDライトもついているので、暗いところの測定でも便利です。
グリップを下にして置けば、机の上に立たせることもできます。これは製品の設計段階からちゃんとバランスを考えて設計していないと、こうはなりませんよ。
液晶は1.45インチ(128×128ドット)のカラー液晶を採用しており、照明が明るいところでも画面が見やすいです。また液晶の周りにはリブがあるので、うっかり液晶部分を下にして置いてしまっても液晶画面が傷つくことがありません。
ボタン・トリガーは、軍手をしていても操作できる配置・大きさになっています。
それなりの価格がする産業用測定器ということもあり、現場で使うための配慮がたくさんありました。廉価品はコストとの兼ね合いでこういう大切なところを削ってしまうのですが、さすが産業用製品だけあってよくできていますね。

欠点らしい欠点といえば、バッテリー交換時にグリップのフタにはまっているプラスチックリングが外れやすいことです。紛失の恐れがあるので、これは改善してほしいところです。
あとオートパワーオフの時間がちょっと早い気がします。ただオートパワーオフは設定で時間が変えられるので、これはあまり問題はないでしょう。

自宅内のいろいろなものの温度を測ってみたのですが、過去2回分の測定値の記録機能があり温度比較に便利でした。この他に、最大・最小温度の記録、平均温度も表示することができます。
ちなみに自宅の測定結果ですが、自室で一番高温だったのは天井近くに取り付けているWi-Fiの親機でした。意外と発熱してるものですね。
また冷蔵庫の冷蔵室・冷凍室の中も測ってみたのですが、場所によって温度差5℃程度のムラが生じていることも分かりました。冷蔵庫に物を詰めすぎると冷気が流れず、全然冷えないという話は本当だったのですね。勉強になりました。
最近はあちこちで非接触体温計を見かけるので珍しくもないのですが、体温も測ってみました。表面温度を測る温度計であるため、やはり体温計より低い温度になりました。この点は、体温計測用の非接触体温計と変わらないですね。

おすすめ度:★★★★☆

これは、いろいろな活用法がありそうな放射温度計ですね。
最近、秋葉原で安く売られているジャンク品の体温測定用の放射温度計(精度保証なし)を買って遊んでみようかと考えていたところだったので、今回、産業用の放射温度計を入手できてよかったです。
さぁ、次は何を測ってみようかな。


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