なお毎回これらをチェックするのが面倒な方は、Microsoft Wordの文章校正機能を使用すると簡単です。
常体(~だ・~である)と敬体(~です・~ます)を混在させない
書きなぐった下書きをもとに書いていたり、複数の人で執筆すると、こうなりがちです。なお見出し・表・箇条書き内では文字数の都合があるため常体に統一したほうがよいです。
送りがなが、いいかげん
送りがなは、できるだけ本則に統一しましょう。同じ文章の中に、「打ち合わせ」(本則)・「打ち合せ」・「打合せ」など、異なるルールの送りがなが入り乱れていると、検索もしづらくなります。
「~は」
「~には」「~することは」「~を」に置き換えられないか考えましょう。「~を」
「~が」に置き換えられないか考えましょう。「~とする」
「~にする」に置き換えられないか考えましょう。任意の文字であることが表現できていない
任意の文字であることを表現したい場合は、その文字を斜体にします。1つの文の中の情報量が多すぎる
思い入れが強かったり、伝えたいという気持ちが強いと、1つの文の中に過剰に情報を詰め込みがちです。複数の文に分けたり、過剰な部分を省略してシンプルな文章にしましょう。
間違えやすい・不適切な表現
「~することができる」
可能と言う意味(可能動詞)で読むと不自然になる場合は、別の表現に書き換えましょう。「~(名詞)できます」
文章表現が柔らかすぎると感じる場合は、「[名詞]することができます」のほうがよいです。「~すること(動詞の名詞化)ができます」
文章表現が固くなりすぎるときは、「[動詞]できます」のほうがよいです。「~ませんので」
「~ではありませんが」に書き換え、もしくは2つの文に分けましょう。「~したり、―したりできます」
「~したり、―たりすることができます」のほうがよいです。「~したり、~する」
「~したり、~したりする」のほうがよいです。「~に対して」
別の表現に書き換えたほうが、わかりやすくなることが多いです。文頭の「なので」は誤り
「なので」は、助動詞「だ」の連体形+助詞「ので」のであるため、「なので」の前には動詞が必要です。そのため「なので」を文頭に置くことはできません。
「~なので―」の形で使います。
「[名詞]する」
サ変動詞にできない名詞を使う場合は、助詞をつけましょう。例えば「[名詞]をする」にします。
×:遠隔する
〇:実行する
「[形容詞 ~い]です」・「[形容詞 ~った]です」
文章が幼く感じられてしまうので、できるだけ避けましょう。ただ適切な言いかえ表現がないため、無理に言い換えると文章の意味が変わってしまうので、多用されていなければ直さなくてもよいでしょう。
△:うるさいです
△:凄かったです
使い分け
算用数字と漢数字の使い分けが適当
具体的な数量・日時を表すときは、算用数字を使います。ただし可読性を考慮する場合や、縦書きの場合は漢数字でも構いません。固有名詞・熟語・慣用句では、漢数字を使います。
×:三百五十五ミリリットル 三五五ミリリットル 〇:355ミリリットル
×:一九四五年 千九百四十五年 〇:1945年
△:240,000,000 〇:2億4千万
×:3途の川 〇:三途の川
×:第3者 〇:第三者
×:数10個 〇:数十個
「使用」・「利用」の使い分けが曖昧
「使用」はその物を本来の目的でを使うこと、「利用」は本来の目的かどうかは関係なく使うことです。ただ解釈次第では、どちらでも通用するので、使い分けは難しいです。
例:段ボール箱を使用する。
→物を入れるために使う。
段ボール箱を利用する。
→工作の材料にするために使うのかもしれない。
「~へ」「~に」
使い分けが混乱しがちですが、助詞の「へ」は方向を表し、「に」は動作の到着点を表します。例:正門から管理事務所へ向かいます。
→目的地は、管理事務所に行く途中にある公衆トイレかもしれない。
正門から管理事務所に向かいます。
→目的地は、管理事務所。
「十分」と「充分」
どちらの表記でも構いませんが、文脈によっては「十分」を「10分」と読み間違えらかねないので、「充分」の表記がよいでしょう。
名称
固有名詞の表記が統一されていない
同じ物事を、それぞれ別の名称で書いてはいけません。複数の表記がある場合は、いずれかの表記に統一しましょう。
操作マニュアルでは、ソフト上で使われている表記を使用しましょう。
Excel・エクセル・表計算ソフト
ディレクトリ・階層・フォルダ
ビューア・ビューアー・ビューワ・ビュワー
操作パネル・操作パレット・右上のフローティングウィンドウ
高度な専門用語・造語を使わない
できるだけ一般的な言葉に置き換えましょう。またメジャーなソフトに同じ機能がある場合は、できるだけその名称にあわせましょう。
×:プロパー 〇:正規品
×:進捗度グラフ 〇:ガントチャート
一般に定着していない・誤解されやすい略語や、造語を使いすぎない
対象とする読者によって変わりますが、できるだけ一般的な表記を使いましょう。また略語も、できるだけ省略しないで書くようにしましょう。
△IP 〇IPアドレス, Internet Protocol, Information Provider, 知的財産
×メンテ 〇メンテナンス
×ZEH 〇ゼロエネルギーハウス
カタカナ語の末尾の長音の表記が曖昧
IT関係の専門用語で、「―er」・「―or」・「―ar」と書く単語をカタカナ表記する場合は、末尾の長音は省略するのが一般的です。ただし一般に定着している単語の場合は、例外があります(プレイヤー・デザイナーなど)。
×:ユーザー コンピューター
〇:ユーザ コンピュータ
通俗的な表現を使わない
一般に広く定着しているものは別として、やむを得ない場合以外は使用しないようにしましょう。×:コピペ 〇:コピーして貼り付け
×:スマホ 〇:スマートフォン
×:真逆 〇:反対 裏返し
×:OKです 〇:構いません
×:落としてください 〇:ダウンロードしてください 電源を切ってください
×:ものすごく 〇:とても
×:適当な 〇:任意の
×:~してるから 〇:~しているので
×:おおまかに 〇:大別して 大きく分けて
固有名詞・単位が正しく書かれていない
正式な表記を使用します。また一般に親しまれている表記がある場合を除き、正式な名称を使用しましょう。
特に英単語では、大文字小文字・スペルミスに気をつけましょう。
なおリットルは小文字の「l」、慣用で筆記体の「ℓ」が使われますが、最近は国際単位系の表記ルールにのっとり大文字の「L」を使うこともあります。
×:ピカチュー 〇:ピカチュウ
×:MS WORD 〇:Microsoft Word
×:10KM 〇:10km
×:20キロ 〇:20kg, 20km, 時速20km, 20km/h
方言・古語的表現を使わない
×:ほかす 〇:捨てる×:なるだけ 〇:なるべく
×:たまさか 〇:たまたま
×:されば 〇:そうであれば
×:しかしながらも 〇:しかし
ひらがな・漢字の使い分け
接続詞・連体詞・助動詞・補助動詞・形式名詞・形式形容詞・感動詞では漢字を使わない
一部例外はありますが、原則としてひらがなで書きましょう。×:但し~ 〇:ただし~
×:~の様に 〇:~のように
×:~して欲しい 〇:~してほしい
×:~等 〇:~など
×:~出来る 〇:~できる
×:嗚呼 〇:ああ
副詞・代名詞のひらがな・漢字の使い分けが難しい
漢字で書いたときに訓読みになる副詞・代名詞は、ひらがなで書きましょう。〇:たとえば すでに いろいろ 一般に 主に 次に
〇:ここ そこ あそこ どこ 私 我々 彼女 皆さん
程度の副詞を使用しない
特別な意図がなければ、文を丸ごと削除しましょう。「ちょうど」「やっと」「たぶん」「おそらく」など
形式名詞では漢字を使わない
×:~の時 ○:~のとき×:~の事 ○:~のこと
×:~の為 ○:~のため
文章がわかりづらい
文章が長すぎる
一行50文字以下を目安にして、文章を複数に分割しましょう。「~、しかし―」・「~、また―」の形になる場合は、接続詞(「しかし」・「また」)の前後の文章を同じ構造にしてやると、読みやすくなります。
名詞が3つ以上連続する場合は、途中に「の」を入れると読みやすくなります。
「~が」「~は」「~の」「~で」「~し」「~して」「~ため」
使い勝手がいいので乱用しがちですが、対応関係・修飾が分かりづらくなるので、別の接続詞に置き換えられないか考えましょう。特に「の」の連続に注意しましょう。
文章がねじれている
シンプルな文章構造を心掛け、余計な修飾を省きましょう。主語と述語の対応関係と、修飾語がどこにかかるのかを考えましょう。
修飾句が長くなる場合は、文章を分割しましょう。
修飾語は、なるべく修飾される語句の近くに置きます。
それでも対応関係がおかしい場合は、文節を入れ替えてみましょう。
受動態(~される)・能動体(~する)の使い分けがおかしい
受動体(「(他人によって)~されている」)・能動体(「(私が)~する」)を区別しましょう。受動態にすべきところが、能動体になっていることがあります。主語を意識し、ユーザが行う動作は能動態、その操作によって行われた動作は受動態にしましょう。
×:ボタンをクリックすると、図形が赤色に塗ります。
→図形が赤色になるのではなく、図形が何かを赤色に塗るという意味になってしまう。
〇:ボタンをクリックすると、グラフが赤色に塗られます。
削除すべき語句
「~ような」
丸ごと削除しましょう。無くてもほぼ問題ありません。「[名詞]に~」
~の部分を修飾する場合、意味の理解に支障がなければ削除しましょう。「余談だが~」
文章の途中でまったく関係のない話が入ると読者の混乱を招くので、余談は削除しましょう。余談が必要な場合は一通りの説明が終わった後にする、コラムとして分離するなどの工夫をしましょう。
曖昧な表現
「思う」・「考える」・「する」を曖昧にしがち
×:~と思います ~と思われます ~と考えられます ○:~です×:~していきます ○:~します ~です
×:印刷したり、プレビューしたりするときは、メニューから選択したり、ツールバーのアイコンをクリックしたりします。 ○:印刷したり、プレビューするときは、メニューから選択するかツールバーのアイコンをクリックします。
「~など」・「~ほか」を使いがち
できるだけ省略せず、具体的に列挙しましょう。数が多すぎて省略せざるをえない場合は、省略しても支障がないかを充分考えましょう。
同じ語句を連続で使いがち
修飾や意味が曖昧になるので、連続しないように書き換えましょう。×:自由に操作できるように、次のように、一時的に消すことができるようになっています。
×:印刷したり、プレビューしたりするときは、メニューから選択したり、ツールバーのアイコンをクリックしたりします。
「~的な」
くだけた表現なので、なるべく使わないようにしましょう。「~のような」のほうがよいです。
記号
算用数字中のカンマ・漢数字の位取りが不適当
見苦しく読みづらいので、どちらかに統一しましょう。桁数が多い場合は、可読性向上のためにカンマもしくは単位表記を使いましょう。
桁数が多い場合はカンマで区切ります。区切り方は英語の単位表記に従い、3桁ごとに区切ります。
×:¥3201500 3201500円 ¥321万1500
〇:¥3,201,500 3,201,500円 321万1500円
括弧・記号類の、全角・半角の使い分けが曖昧
業界・会社によって使い分けのルールは様々です。ただ私の方針としては、原則として日本語の文中では全角を、英文の中では半角の括弧を使用しています。
ただし括弧の中身が半角だけである場合は、半角の括弧を使います。
イニシャル・伏せ字を使っている
できるだけ、イニシャル・伏せ字の使用は避けます。また伏せる必然性がないときは、使いません。
特に意図がない限り表記を一貫させます。
1度目は「●田太郎」、2度目は「山田●郎」などとして、2か所を照らし合わせることで「山田太郎」と特定できるようにしてはいけません。
特に意図がない限り、イニシャルは名前の頭文字にしてはいけません。
山田太郎のことを「Yさん」・「Tさん」と表記するのではなく、人物の登場順にAさん・Bさん・Cさん…というようにアルファベット順で使います。
見出しでの句点「。」の有無が不統一
句点の有無を統一しましょう。ごく短い文章の場合は、句点をつけないのが一般的です。
×:キーボードは不要。マウスで簡単操作
〇:キーボードは不要␣マウスで簡単操作
読点の打ち方が、いいかげん
主部と述部のつながりや、修飾句との関係を考えて、主部・述部・修飾句の境目で打ちます。文が短い場合は、打たなくても構いません。漢字が連続しすぎたり、誤読しそうなときも、可読性を考慮して追加で打ちましょう。
なお読点が不適切な位置にあったり、過剰だったりすると、逆に文章が読みづらくなります。
区切り文字の中黒「・」・読点「、」・「や」・「と」の使い分けが曖昧
単語の列挙では中黒を、文節の列挙では読点を使用します。ただし列挙が英単語のみの場合は、英文の表記ルールにのっとり、半角カンマを使います。なお半角カンマの後には、必ず半角スペースをつけましょう。また外国人・外国製品などの固有名詞の中で中黒を使うとき(ルイ・ヴィトンなど)は、固有名詞中の中黒をスペースに置き換えるか、列挙の区切り文字を読点にします。なお中黒の代わりに「゠」(二重ハイフン)を使うこともありますが、現在こちらの記号はあまり使われません。
「~や―」・「~と―」は、1語目(列挙の中でも代表的な単語)と2語目の間の区切りに使ったり、列挙の中でグループ化したいときに使います。
「…」の表記がいいかげん
「…」は省略を表す記号です。語尾で使われることもありますが、そもそも説明文では語尾を濁したり省略したりしてはいけません。また「...」(半角ピリオド3つ)や「・・・」(中黒3つ)「、、、」(読点3つ)・「....」(半角ピリオド4つ)、「‥‥」(2点リーダ2つ)ではなく、「…」(三点リーダ)が正しい表記です。なお英文には三点リーダの活字がないので、「...」(半角ピリオド3つ)の表記を使用します。
なお語尾を濁す・省略する目的で使用する場合、印刷業界では「……」(三点リーダ2つ)が正しい表記です。
また最後に読点はつけません。
×:…。 〇:…␣