きゃらりこ日誌

2019年08月

インターネット / 雑想 / メディア

画像の無断使用問題 対応に3か月以上かかったresearchmap

SNSやウェブサイトを長くやってる方なら経験があると思いますが、私が撮影した写真が複数のウェブサイトで無断で使用されているのを見つけました。
その写真はWikipedia, Wikiquoteなどのプロジェクトが共用している画像置き場の、Wikimedia Commmonsに私がアップロードしたもので、他の用途にも自由に使えるように、比較的緩いライセンスで公開していました。
画像によって異なりますが、GNU Free Documentation License, MIT License, Creative Commons by-sa 4.0のいずれか、もしくは複数のライセンスを指定して、使いやすいようにしていたのですが、それでもライセンスを守ってくれない人が多くて、悲しくなってしまいました。
画像の出典が明記されていれば、ライセンス違反でも黙認してるのになぁ……

そこで是正のお願いのを一斉に送ったところ、ほとんどのウェブサイトは1~2週間以内に改善してくれたのですが、国立研究開発法人 科学技術振興機構が運営している学校・公的機関の研究者向けコミュニティサイト「researchmap」だけは、なかなか対処してもらえず困ってしまいました。

遅々として進まない対応

researchmapにはブログ機能があり、中部地方の自治体系の組織の研究者さんのブログの中で、私の撮影した写真がライセンス違反の状態で使われていました。
よく見ると、他の人がWikimedia Commmonsや撮影者のブログにアップロードした写真も、大量に使われていました。
学術活動で使っているならまだしも、それは学術活動とは全く関係ない趣味の活動の記録でした。
そこでresearchmap担当者に是正のお願いを送ったところ、「対応が完了しましたら、改めてご報告いたします。」と言う返事が帰ってきたので、1か月ほど待っていたのですが、何の報告もありませんでした。

直接、本人に連絡を試みるも…

報告待っている間、研究者の方に直接連絡できないかと彼のブログを読んでみたところ、TwitterとWikipediaにアカウントを持っていることが分かりました。
そこで、TwitterとWikipediaのアカウントにメッセージを送ってみたのですが、まったく返事も帰ってこず、対処も行われませんでした。
前回のメールから1か月が経過したので、再びresearchmapの担当者にメールを送ったところ、「ブログ掲載者へ複数回連絡をしているが、返事がない。上記を踏まえ対応を検討しているが、時間がかかる。」とのこと。
何らかの事情で返事が返せない状況なのかと思っていましたが、その間も研究者さんはいつも通りTwitter・ブログを書き続けており、意図的に私からの連絡を無視しているようです。
最初の問い合わせから3か月が経過した段階で、researchmap担当者に再び進捗伺いのメールを送ってみました。
すると「掲載者・所属機関担当者へ複数回連絡しましたが、返信が無い。また、当該画像はWikimedia Commmons直リンクだが、CCライセンス違反なので対応を検討している。」との返事。

プロバイダ責任制限法で問うてみるが…

「対応について内部で検討している」とは言っていましたが、さらに1か月たっても何の進展も報告もありませんでした。
そこで、researchmap担当者にプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求・送信防止措置依頼(削除請求)を申し立てる旨を送ってみました。
2週間後、担当者の上司の方からメールが届きました。
「直リンクは、単に画像の在処を示しているにすぎないため、利用行為にはあたらない。著作権侵害・CCライセンス違反のいずれにも該当しないので、プロバイダ責任制限法に基づく請求は受け付けられない。」との返事でした。
そう、画像の直リンクは公衆送信権・複製権の侵害にならないため、日本では著作権侵害にならないのです。

ただ、「ブログ投稿者が記事を削除したことを確認しました。」と記されていたため、これで幕引きにすることにしました。

どうすればよかったのか…

ただ、研究者さんが直リンクしていた画像はWikimedia Commmonsが自動生成したサムネイル画像だったので、この点で攻めればなんとかなったかもしれません。
運営元のウィキメディア財団はアメリカ合衆国の法人なので、このサムネイル画像の自動生成にはフェアユースが適用されるので、アメリカ合衆国では合法の行為です。
ただし日本ではフェアユースは認められていなので違法になりますが、著作権法 第47条の5の「軽微利用」に該当するので、サムネイル画像として生成・使用すること合法だと思われます。
ただし目的外で使うと違法になります。
ここに着目して、目的外利用なので、研究者さんは著作権侵害の主体であると主張することができるかもしれません。

またクレジットの非表示を理由に、氏名表示権の侵害であると主張できるかもしれません。
ただ実際には、研究者さんが違法行為だと明確に認識していない限りは、これで罪に問うのは難しいようです。

researchmapの利用規約「(1)JSTもしくは他者の著作権、商標権等の知的財産権を侵害する行為、又は侵害する恐れのある行為。」の「侵害する恐れのある行為。」を盾に、ブログのコンテンツの責任の主体は研究者さんにあると主張するほうが、まだ望みはありそうです。

まとめ

もうモラルの問題なので、今回のように根気強くお願いしつづけて、相手が根負けするのを待つしかないようです。
自サイトならサーバ負荷を理由に迷惑行為ということで民事上の責任を問うたり、.htaccessによる直リンク対策をとることができるのですが、今回はWikimedia Commmonsに預けた写真なので、自身でできることは限られてますね。
どうしたらよかったのかなぁ。
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