きゃらりこ日誌

2022年04月

PC・家電

キングジム「テプラ」純正ACアダプタ SR6Aの代替品

職場でラベルライター「テプラ」を使ってラベルを作ることがあるのですが、断線して捨ててしまったのか、付属のACアダプタがどこにも見あたりません。
そのため普段は乾電池で使っています。
ただアルカリ乾電池が6本も必要ですし、なによりランニングコストがよくありません。
そこでACアダプタを買おうと、画策しました。
しかしキングジムのウェブサイトによると、職場にあるTEPRA PRO SR717は1995年に発売された古い機種で、これに対応した純正のACアダプタ SR6Aは2020年2月に販売終了になっており、代替品の販売もないとのこと。
そこで代替になりそうなACアダプタを探してみました。

Huamei Electronics製の、KING JIMのACアダプタ SR6A
Huamei Electronics製の、KING JIMのACアダプタ SR6A
(画像出典:ヤフオク!(オークションID:j724425860))

※後日追記
このブログの内容をまとめなおしたものを、以下のページで公開しています。
こちらのページでは、代替品のACアダプタも紹介しています。
 → テプラ ACアダプタSR6Aの互換品 - 350ml.net

純正品の仕様を調査

まずは純正品のACアダプタの仕様の調査からです。
インターネットオークションサイトで売られている純正品のACアダプタのラベルの写真を見たところ、定格出力は6V 1.5Aでした。
製造メーカーは、時期によってエプソン・シノ アメリカン ジャパン・タムラ製作所・日本電産・若柳電子工業・Huamei Electronics・Potrans Electrical Corporationとさまざまです。
エプソン製のものだけに、「MODEL NO A40615J」という別の品番が追加され、定格電圧が6.5Vに上がっているのが気になります。

エプソン製のKING JIMのACアダプタ SR6A
エプソン製のKING JIMのACアダプタ SR6A
(画像出典:ヤフオク!(オークションID:n1035800043))

ただテプラ本体に刻まれている刻印には、DC 9V 9Wという表記がありました。
あれれ?

普段、テプラにはアルカリ乾電池6本入れて使っているので 1.5V×6本=9V です。
またアルカリ乾電池の終止電圧は0.9Vなので 電圧の下限は0.9V×6本=5.4V くらいなので、ACアダプタの6Vはこれを下回ってはいません。
もしかして、6~9Vの範囲なら使えるような設計になっているのかな?

TEPRA PRO SR717本体の刻印
TEPRA PRO SR717本体の刻印
(画像出典:ヤフオク!(オークションID:s1043471591))

そこで、別のACアダプタで代用できないか試行錯誤した方のブログを見つけました。
別の機種の話ではありましたが、テプラ本体には6.5V以上の電圧を供給してあげないと電池切れ表示になってしまうそうです。
また別の方のブログによると、純正品のACアダプタは無負荷では9V近く出ているとのこと。
ヤフオクでは、10V以上出ているという出品者のコメントも。
…え、どういうこと?

あ、わかった!
SR6Aは、トランス式の非安定化ACアダプタですね。
トランス式の非安定化ACアダプタは、リニア電源なので負荷の重さによって出力電圧が変動してしまうという欠点があります(下のグラフを参照)。
6Vと書かれているのに無負荷では9V近く出ているというのは、これが理由だと思います。
(※電圧の変動を防ぐために安定化回路を内蔵した、トランス式の安定化ACアダプタも存在しますが、電圧の変動に敏感な機器以外では使われていません。)

トランス式非安定化ACアダプタのの出力電圧特性の一例(定格 6V 1000mA)
トランス式非安定化ACアダプタの出力電圧特性の一例(定格 6V 1000mA)
非安定だと出力電圧が、電源電圧や消費電流に左右される
(画像出典:トランス式アダプタ - 大成エレクトロニクス株式会社

また、現在主流のスイッチング方式のACアダプタと比べて大きいトランスを使わなければいけないため、ACアダプタは重く大きめで価格も高めになります。
純正品のACアダプタの定価が高いのは、これが原因ですね。
トランス式の非安定化ACアダプタは、スイッチング方式のACアダプタと違ってスイッチングノイズや不要輻射が発生しないので、電子楽器やオーディオ機器・医療機器、古い機器でよく使われています。
このTEPRA PRO SR717が発売された1990年代は、トランス式の非安定化ACアダプタがまだ多く使われていた時代です。

スイッチング方式のACアダプタに変えてみる

トランス式のACアダプタは高価なので、安価なスイッチング方式のACアダプタで代用してみます。
ただスイッチング方式のACアダプタだと、中途半端な電圧の6.5Vのものは入手が難しいです。
なんとかならないかとAmazonで売られている自称互換品のスイッチング方式のACアダプタの定格を確認すると、9V 1.5Aでした。
またプラグ形状も、説明文からEIAJ RC-6705(内径 2.1mm、外径5.5mm)であると判明しました。
そこで手持ちの9V 1.3A センタープラスのスイッチング方式のACアダプタ(秋月電子通商 GF12-US0913(9V 1.3A、内径 2.1mm・外径5.5㎜、Go Forward Enterprise製))があったので、これに極性変換ケーブルを噛ませてセンターマイナスにして使ってみます。

……印刷できました!
これで電池切れにおびえることなく、印刷できますね。
ただ毎回極性変換ケーブルをつなげるのは面倒なので、プラグを付け替えて使うことにしました。
また誤使用防止のためACアダプタの極性記号を塗りつぶし、「テプラ専用 センターマイナス」と印刷したテープを張っておきました。

秋月電子通商 超小型スイッチングACアダプター9V1.3A 100V~240V GF12-US0913
秋月電子通商 超小型スイッチングACアダプター9V1.3A 100V~240V GF12-US0913
※この商品の極性はセンタープラス

ちなみに子供向けのラベルライター「テプラPROフォーキッズ アンヴィー」用のACアダプタ SSR6A(6.5V 1.5A、発売元 セガ・エンタープライゼス)も使えるそうですが、こちらはすでに販売終了していました。
また別機種用のトランス式非安定化ACアダプタAC0615Jも似たような定格ですが、プラグ形状がRC-5320A の電圧区分3(通称 EIAJ #3)であり、SR6Aが採用するEIAJ RC-6705(内径 2.1mm、外径5.5mm)のプラグではないので、プラグを交換しないと使えません。
しかし、EIAJ #3→RC-6705の変換プラグは、需要が少ないせいかあまり見かけませんね。逆方向の変換プラグなら、よく見かけるのですが…


結論

キングジム「テプラ」純正ACアダプタ SR6Aの互換品を探すときは、

整流方式:スイッチング方式
定格電圧:9V
定格電流:1.0A以上
プラグ形状:EIAJ RC-6705(内径 2.1mm、外径 5.5mm)
極性:センターマイナス
の条件で探してください。

電子楽器・エフェクタ用のスイッチング方式のACアダプタ(通称パワーサプライ)あたりを探すと、互換品が見つかりやすいです。


余談:NAMELAND用ACアダプタ AD-A95100Lの代替品

ちなみに自宅用として、カシオ計算機 ネームランドKL-P7(中古品)を所有しているのですが、これ対応する純正ACアダプタAD-A95100L(現行品)の互換品は、

整流方式:スイッチング方式
定格電圧:9V
定格電流:1.0A以上
コネクタ:EIAJ #3
極性:センタープラス
の条件で探してください。
前述の秋月電子通商のACアダプタに、市販の変換プラグ(RC-6705→EIAJ #3)をつなげたら、問題なく使えました。


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