本日11:00、テレビの地上波デジタル放送が始まりました。 とはいうものの、全国三大都市圏(東京・名古屋・大阪)の一部地域でしか見られないんですが。 従来のテレビ放送(地上波アナログ放送)と混信しないように、今まで見ていたチャンネルを他のチャンネルに移動する作業(通称アナアナ変換)が完全に完了していないというのが、理由です。 関東では、東京都内(多摩以西を除く)でしか見られません。 私の住んでいる横浜では、2005年以降に受信できるようになるそうです。
ゴーストがなく綺麗で、ハイビジョンサイズで高画質、5.1サラウンドで、携帯電話でもテレビが見られて、データ放送もあり、EPG(電子番組表)が配信されるからテレビ番組表いらず……。 メリットばかりが注目されていますが、光あるところには必ず闇もある。 デメリットもそれなりにあります。 まず始めに、テレビの値段が高くなります。 日本のデジタル放送はISDB-Tという方式を使用していますが、これは日本独自規格です。 ヨーロッパはDVB-T、アメリカはATSCという方式を採用しているんですが、ISDB-TはDVB-Tを日本向けに改良・発展させたものです。 しかしSDB-TとDVB-Tには互換性はありません。 よってメーカーは、日本専用のテレビを作らなければなりません。 現在、日本で販売されているブラウン管テレビはNTSC方式のもので、NTSC方式は日本・アメリカ等で使われています。 (ヨーロッパ・アジア・南米・オーストラリアはPAL方式、ロシア・旧ソ連各国・中東・北アフリカ地域はSECAM方式が中心) そのため大量生産が容易です。 そしてISDB-Tでも録画できるビデオデッキ・ハードディスクレコーダー・DVD±RWも、日本独自規格のせいで高価なものになります。 また番組製作者から見れば、不景気で番組の制作予算が減らされているのに、データ放送用のコンテンツを作らるという手間が増えます。 つまり、手間が増える=制作費増加 となります。 その他に、5.1サラウンドのサウンドが聴けるのは、ごく一部の番組だけにしかすぎません。 テレビ欄を見てもらえればわかるんですが、現在放送されているアナログ放送の番組の大半はモノラル放送という現状を見れば当然。 5.1サラウンド対応の音源は、ほとんど存在しないのですから、全番組を5.1サラウンドにするは無理です。 また、すべての放送をHDTVにすると、カメラや撮影・編集設備などもHDTV対応のものにすることが必要となり、番組制作費が急増します。 そのため、当面は通常画質(SDTV)を併用してゆくことになります。 また、当面は地上波アナログ放送のサイマル放送(同じ番組を同時放送)が中心のため、ほとんどの番組はSDTVになります。 なお電波の受信状態が悪い地域では、従来のようにノイズまみれだが何とか見れるという訳ではなく、全く見られなくなるか、またはブロックノイズが発生したり、動画が一瞬コマ落ち状態になります。 それからISDB-T規格では、双方向通信機能・番組延長時の録画予約自動変更機能・緊急警報放送機能等は、受信機の実装に任せるということになっています。 つまりオプションということです。 思い描いていたテレビとは、イメージがかなり違います。
つまり、デジタル放送になったからといって、テレビ番組が変わるわけじゃないんです。 でも、技術的には大革命なんですよ。
参考資料 「知っておきたい 地上波デジタル放送」(NHK受信技術センター編 日本放送協会出版 ¥1,500) 「BS/CS/地上デジタル放送 データ放送技術読本」(八木伸行・吉村俊郎・加井謙二郎著 オーム社 ¥3,000) |