ニッポン放送は2006年頃から、アメリカからメジャーリーグの生中継を行っているのですが、メジャーリーグ中継開始初期にワイド番組の中で、ベクターという機械を使って一般加入電話(普通のアナログ電話回線のこと)から中継していると言っていました。
中継スタッフは最小限の2人(アナウンサーと、技術スタッフ兼ディレクター)だけだし、国内の中継で使ってるISDN回線の確保もままならないだろうし、テレビほど帯域を使わないから通信衛星を借りるほどでもない。
だから国際電話で中継なのでしょうが、なぜか国内並みのいい音質で中継しているので、どんな機械を使っているのか調べてみたのですが、当時は判らずじまいでした。
そして今日、たまたまニッポン放送のメジャーリーグパーソナリティ日記を見ていたところ、2006年4月の放送機材紛失事件の際の写真でどんな機材を使っているのかがわかりました。機材は写真・記述内容から、音声送受信用のCOMREX社製のPOTSコーデック Vector、SHUREのマイク、実況用のマイクつきのヘッドセット、L-comのステレオジャック-ステレオミニジャック、Trisonicの25フィートの電話コード、取材用の携帯MDレコーダー。これだけで、海外からの生中継ができるそうです。
ちなみにお値段は、全部で6500ドル(MDレコーダーを除く)、当時のレートで約77万円。へー、これだけでいいんだ。頑張れば個人でも手が届きそう……と思ったけど、受け手側にも同じ装置を置かないといけないし、国際電話代も払わないといけないんだよなぁ……
しかしカタログによると、一般加入電話で通信速度24kbps以上が確保できればモノラルで音声帯域15kHz(FMの中継回線と同じ帯域)、サンプリングレートはMP3で64kHzもしくはTurboG.722で128kHz、遅延は電話回線自体の遅延+0.15秒以下で、衛星携帯電話並の通信速度9.5kbpsでも5kHz(一般加入電話の2倍弱)が確保できるそうです。VECTORって、結構すごいヤツですなぁ。
(初出:はてなダイアリー「Tech² memo」)
[ | この記事のURL ]